小児科のあれこれ

地方の小児科で感じたこと、勉強したこと、本やグッズのレビューなど

2019-01-01から1年間の記事一覧

肥厚性幽門狭窄症

一般小児科だと年に1人診るか診ないかという印象なのですが、最近うちで1週間で2例見つかったのでこの話題を。小児栄養消化器肝臓病学と小児外科の雑誌を主に参考としています。 肥厚性幽門狭窄症とは? 肥厚性幽門狭窄症の原因 肥厚性幽門狭窄症の症状 肥厚…

「風邪」の診かた

誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた 第2版 感染症診療12の戦略 総合診療医・感染症医の岸田直樹先生の本。特に感染症関係でご活躍されています。 軽く見られがちの風邪の本。タイトルが風邪ではなく「風邪」な時点で私的には高評価です(笑)が、内容もと…

食物アレルギーを意識した離乳食の本

食物アレルギーをこわがらないはじめての離乳食 離乳食を開始するにあたって食物アレルギーが心配なご両親におすすめな本です。 あいち小児保健医療総合センターアレルギー科の伊藤浩明先生と帝京科学大学教育人間科学部の上田玲子教授(管理栄養士)による…

マンガで分かる子供の病気・おうちケアはじめてBOOK

マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK[本/雑誌] / 佐久医師会教えて!ドクタープロジェクトチーム/著 江村康子/漫画・イラストジャンル: 本・雑誌・コミック > ライフスタイル > 妊娠・出産・子育て > 妊娠・出産・子育てショップ: CD&DVD N…

腹痛と救急受診

自分の中で、救急疾患で一番怖いと思っているのが腹痛です。多くは問題ないのですが、急変する病気が含まれているからです。 佐久医師会の、おしえて!ドクターのアプリやおうちケアの本は素晴らしいのですが、なぜか腹痛の項目がありません。 救急外来を受…

思い出話(小児がん中心)

私は小児がんを専門にしていません。が、数年前までは小児がん拠点病院に勤務しており治療に参加していました。twitterのやり取りを見ながら、また、やり取りをしながら色々思い出したことがあるのでいったん綴っておこうと思いここに書いています。 最初の…

薬と味

薬の処方については色々原則があります。 どういった病気、どういった年齢、どういった持病があるかなどで基本というものがあります。 小児の場合は内服可能かということも重要となります。 薬の形(シロップ、粉薬、錠剤など)が大切で、小児では錠剤を出す…

アンパンマンのメリー

わりと最近購入。 エコーの時に赤ちゃんが横を向いたり、泣いたりするのを予防できないかなというねらいでした。しかし、興味は示すんですが、腹ばいになって見ようとして「エコー中に上を向いてもらう」という野望は果たせず… ただ、もうちょっと大きい子供…

頭痛と救急受診

twitterでちょっと話題となった小児の頭痛問題。 某大学の脳外科の先生が「小児に単なる頭痛はない」と言っていたという話に、小児病院の小児脳神経外科の先生が異議を唱えたという話です。実際、小児でも片頭痛などは年長児になれば増えてきますし、起立性…

咳(とぜーぜー)と救急受診

秋冬に特に多い咳。長引く咳(慢性咳嗽)では診断が難しいこともよくありますが、救急受診のきっかけとなることは比較的少ない印象です。しかし、咳はほとんどの場合呼吸の病気で起きますので、それが重症となると命の危険もあります。では、どういうときに…

タブレット購入とヘッダー画像

タブレットを購入しました。といっても錠剤ではありません。パソコンでのお絵かきの道具です。 今はスキャナが手持ちにないので、イラストを描いてスマホのスキャンアプリで読み取っていたのですが、あまりきれいにならないこともあってタブレットとイラスト…

意識確認の相棒

先輩が持ってて良さそうだったから約9年前に手に入れた。発売日を見たら、当時発売して間もなかったんだなと今思いました。 ベビラボ アンパンマン ごきげんメロディーリモコン 出版社/メーカー: バンダイ(BANDAI) 発売日: 2011/01/22 メディア: おもちゃ&…

ブログデザイン変更

このブログを始めるにあたり、はてなブログでは一番人気のテーマminimalistを使用していた。 hitsuzi.hatenablog.com 何もわからない状態から色々なページを参考にしながらカスタマイズしていたが、どうしてもうまくいかなくなったため、やりたいことがある…

痙攣(特に熱性痙攣)と救急受診

痙攣時の救急受診について書いていたら、熱性痙攣について詳しくなりすぎて長くなったので短縮版です。詳細版は下の記事をご参照下さい。 www.blog.takkuna.com 基本的には、よほど繰り返している人以外は救急受診して良いのではと思いますし、最初の1、2回…

痙攣(特に熱性痙攣)

twitterの痙攣ツイートが予想外に拡散して驚いた私です。 今日の症例で思ったこと。1) 痙攣は5分続いて止まる気配がなけば救急車呼んで良いと思います。少なくとも10分続いたら絶対。2) 見た目で痙攣が止まったかの判断は専門でも難しいことがあるので、止…

発熱と救急受診

小児の救急受診での発熱についてまとめました。長期的な発熱についてはまた別の機会に… 小児の受診は「熱が出た」が多い 救急受診をすべき発熱 ①3か月未満の発熱 ②他の症状がひどい ③熱中症 ④熱が長引く(GWや年末年始など) 小児の受診は「熱が出た」が多い…

他の症状のない発熱

発熱で他の症状が無いときに小児科医が気にするのはまずなんといっても尿路感染症のなかの急性腎盂腎炎です。次に急性中耳炎でしょうか。それぞれ疑って検査をしないと診断できません。小児科で熱がある子にやたらと尿検査をするのは腎盂腎炎を見逃さないた…

はたらく細胞

患者さんや学生、看護師さんに薦めている本。何回か病棟用とかに購入している。 がんや血液疾患などを診療していた時、患者さん自身にも「好中球がこんぐらいだから、売店はだめだね」とか説明していたので読んでみたらより分かるかなと病棟用に購入したら、…

乳児の空気嚥下

空気を飲むのは意外と問題 空気を飲むとまず胃にたまります。するとまずは苦しくなったり胃が痛くなったり吐き気がしたり食欲がなくなったりします。炭酸飲料を飲みすぎたときなんかと同じような感じと言えばわかるでしょうか? 胃の次は小腸、大腸と進んで…

ロタウイルス(ワクチン定期接種化記念)

祝ロタウイルスワクチン定期接種化 ロタウイルスワクチンが定期接種になりました。流行力が強く、胃腸炎で入院する小児はロタが多いので利益を得る人はそれなりにいると思います。 ただ、ロタワクチンが開始して10年未満なのに昔から問題となっている、おた…

救急病院のレビューに思う

各病院にどういう医師がいるか、「~先生まだいるかな」などを調べるときにグーグルで病院名を検索するとグーグルマップのクチコミの星が目に付きます。そして、クチコミを読んでしまうことも結構あります(笑) 例えば、これは小児科の間では救急外来を中心と…

川崎病④-再発

twitterで、子供さんが川崎病を3回繰り返した方のツイートがあったので、川崎病の再発について調べてみました。 川崎病の再発率 川崎病で再発の割合は3%程度とされています。2015~2016年の2年間の患者を対象に実施した第24回川崎病全国調査の結果では4.2%だ…

川崎病③治療不応について

詳しい原因は不明ですが、川崎病は体質があって、それをなんかが刺激して発症すると考えられています。講演などを聞く限りでは、体質的なものは自然免疫系に関与する自己免疫的な病気の素因が考えられているようです。また、地域的に流行する傾向があること…

川崎病②-治療

川崎病の治療のスタンダード 原因は今一つよくわかっていない(感染症+免疫異常?)という川崎病ですが、最初の治療は確立されています。 ガンマグロブリン大量とアスピリンの併用というものです。ガンマグロブリンというのはいわゆる抗体を集めたもので、…

川崎病

川崎病は年間15000人以上と意外と多い病気です。全身の血管に炎症を起こし、さまざまな症状を起こします。小児科医としてはありふれてはいますが、色々と悩むことも多い病気です。現時点で④まであります。 川崎病は診断に悩む 川崎病を診断することの重要性 …

エビデンスは難しい…

臨床上の根拠 evidence based medicineが強調されるようになって久しいですが、臨床の現場ではエビデンスになっていない共通認識というのも結構あります。 小児の場合、それぞれの疾患で症例数を集めにくいこと、年齢や体格による影響を受けやすいことからち…

軟骨無形成症、ピエール・ロバン:看護師国家試験問題

病院勤務していると看護学生さんの授業を担当することがあります。 病院に付属していることもあるが、単に近いからと契約していることもある。 大学病院時代は肩書のある先生が担当していたが、歯学部の講義にも行っていて(もちろん医学部の講義もある)大…

小児感染症のトリセツ

最初のバージョンである、『小児感染症と抗菌薬のトリセツ』は当時長野県立こども病院の笠井先生(現在は兵庫県立こども病院)によって書かれた本でした。当時、僕は小児科の後期研修医で、内容は詳しくはないもののシンプルにまとまっていて使いやすかった…

「風邪」

「風邪ですね」 病院でよく言われる言葉だと思います。 でも、これって難しいのです。 googleで"国語辞典"を検索してトップに来たgoo国語辞典では 4 (多く「風邪」と書く)鼻・のど・気管などのカタル性炎症。くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・のどの痛み・咳 (…

RSウイルス感染症

RSウイルスが流行 この地域でRSウイルス感染症が流行しています。 7月にちょっといたもののお盆前には全くだったので、お盆期間に輸入されて流行したものと思われます。 かつては秋から冬という病気でしたが、今はわりと夏から出始めます。温暖化などのため…