薬の処方については色々原則があります。
どういった病気、どういった年齢、どういった持病があるかなどで基本というものがあります。
小児の場合は内服可能かということも重要となります。
薬の形(シロップ、粉薬、錠剤など)が大切で、小児では錠剤を出すことはあまりありません。シロップも薬が限られるしややこしくなるから粉薬を処方することが多いかと思います。また、喘息の時に使うホクナリンテープなんかは貼り薬ですね。
そして、味というのも大切です。
飲みやすい薬
痰きりの薬(ムコダイン、ムコサールなど)は基本的に内服しやすいです。
抗生剤だと、セフゾン、オゼックスなんかが内服しやすいのですが、ここら辺は処方したくない医師も結構いると思います。
アレルギーの薬であるザイザルシロップなんかも味に癖が無いように思います。
ビオフェルミンやラックビーなんかのビフィズス菌も個人的には癖が無く、味をごまかしやすいと思いますが、ざらざらした感じがイヤって子もいます。僕は子供のころお菓子のようにバリボリ食べて叱られてましたが…(笑)
飲みにくい薬
そもそも「薬を飲もうとしません」って人もいますが、そんな方には頑張ってもらうしかありません。
よく出す薬で患者さんの訴えで多いのは、クラリシッド(抗生剤)、デカドロンエリキシル(ステロイド)、トリクロールシロップ(睡眠薬)などでしょうか?
特にクラリシッドは苦みが残るのと、薬自体に消化管を刺激する作用があるので現実問題として困ることも多いです。しょうがなしに代替薬に変更することもあります。ちなみに、酸性のものと一緒に内服するとコーティングが剥げて余計に苦みが増すということも知られています。ですから、スポーツドリンクやオレンジジュースなどで内服してはいけません(味的に)。また、濃いピーチ味のムコダインと一緒に内服すると同じように苦みが強調されてしまうので配合はできるだけしないようにと言われています(味的相対禁忌?)。
また、川崎病の時のアスピリン、癌患者さんや尿路感染予防に使用されることの多いバクタも評判が良くない薬です。
漢方薬なんかは独特な風味で苦手って子も多く、そもそも親御さんが希望されないこともあります(好きな親御さんもいます)。自分は、幼少期より漢方薬を色々飲まされて育ったので、煎じ薬のまずさ、頭痛の時に飲まされるお湯で溶かした呉茱萸湯(ゴシュユトウ)の苦さを知っているので、よく処方する大建中湯、小建中湯、六君子湯なんかはそんなにまずくないのに…って思っていますが、試してくれない患者さんも多いです。
しかしながら、個人的苦い薬の帝王はプレドニゾロン散(ステロイド)です。ごまかす気一切なし。真っ向勝負の後を引く苦みと直面できます。薬の味をごまかすことについては定評のあるチョコアイスでもごまかしきれません。味見会をすると、これを味見した後に何を味見してもプレドニゾロンの味が残るねと評判です。でも、これを処方する患者さんでは、腎臓の病気や膠原病など治療に必要であり治療しないと大変なことになってしまう可能性の大きい病気の場合が多いので絶対的に必要です。そして、内服してもらえることが多いです(自分の場合、最終的に内服してもらえなかったことはありません)。本人も親御さんも偉いです。
逆に言うと、切羽詰まって頑張ればできるということなのかもしれません。