小児科のあれこれ

地方の小児科で感じたこと、勉強したこと、本やグッズのレビューなど

食物アレルギーを意識した離乳食の本

食物アレルギーをこわがらないはじめての離乳食

離乳食を開始するにあたって食物アレルギーが心配なご両親におすすめな本です。

あいち小児保健医療総合センターアレルギー科の伊藤浩明先生と帝京科学大学教育人間科学部の上田玲子教授(管理栄養士)による離乳食の本。伊藤先生は、相模原病院の海老沢先生とともに食物アレルギー業界をひっぱっていらっしゃる先生です。もちろんアレルギー業界全体でもとても有名です。

最初は食物アレルギーがある子の離乳食の本と思ってAmazonで注文したのですが、離乳食を始めたり進めていくにあたって、食物アレルギーを意識しながらどうするかという本でした。

最初に食物アレルギーの基本的な情報、皮膚ケアの必要性について書いてあり、離乳食を遅らせることで予防効果はないことなどが記載してあります。食べないことでむしろアレルギーになることすらあると言われています。そして、1歳までだと玉子、小麦、牛乳で食物アレルギーの約9割を占め、その他含め食物アレルギーがあっても9割は小学生までに治ることを示したうえで、主要アレルゲンについて、どういう風に摂取を開始し、進めていけばよいかを説明されています。その食材に含まれている栄養についてと、少しですが代用品についても記載があります。

栄養については、基本的には牛乳アレルギーのカルシウム欠乏に気をつけようということになるかと思いますが、その他はよほどたくさんのアレルギーでない限り補充にはそれほど困らないとされています。肉アレルギーはほとんどいませんし。

基本的には、乳児期のアレルギーで初発で命に関わることはほぼないから、少しずつ始めていけば急激な反応になりにくいという考えを指導してくれる本だと思います。ところどころ、離乳食で困った場合についても書いてあります。

卵アレルギーの患者さんでアレルギーが分かった後に、「卵黄が半分食べられたら次はかきたま汁ね」と、ある栄養士さんに言われたという方がいらっしゃいましたが、卵だと、固ゆで卵白は固ゆで卵黄の20倍程度のアレルギーパワー(固ゆで卵黄一個≒固ゆで卵白1g)と言われていて、さらに一般加熱、半熟、生と強くなっていくので、かきたま汁は飛躍しすぎだなと思ったことがあります。

ゆでたまごのイラスト  玉子焼き・だし巻き卵のイラスト  マヨネーズのイラスト  卵かけご飯のイラスト

そもそも、アレルギーであることが分かっているなら詳しい医師と相談しながら進めていかないといけません。

この本だと、卵なら、卵黄少量→卵黄1個→全卵1/3→1/2というふうに進めていくのを基本としてメニューなども提示しながら具体的にどうすればよいかと書いてあります。

ごく簡単なアレルギーの基礎知識と食物アレルギーの考え方についても学ぶことのできる良い本だと思います。

改訂版 食物アレルギーをこわがらない!  はじめての離乳食

改訂版 食物アレルギーをこわがらない! はじめての離乳食