痙攣時の救急受診について書いていたら、熱性痙攣について詳しくなりすぎて長くなったので短縮版です。詳細版は下の記事をご参照下さい。
基本的には、よほど繰り返している人以外は救急受診して良いのではと思いますし、最初の1、2回で救急車を呼ぶのも仕方が無いと思います。むしろ、発作が長引いている可能性があるときにはさっさと救急車を呼んで欲しいです。
痙攣対応の基本
熱性痙攣だろうがそうじゃない痙攣だろうが基本は同じです。まずは、
- 安全な場所に移動すること
- 窮屈な状態にしないよう服やベルトを緩めてあげること
- 嘔吐をすることも多いので窒息しないようできれば横などを向けてあげること
です。全身痙攣の最初の問題は呼吸で、呼吸しにくくなります。舌を噛むかもしれないから口の中にものを詰めるということはしてはいけません。可能なら、時間計測と痙攣の発作様式の観察(動画があればなお良し)です。
痙攣が長引くと脳に障害が起きる可能性があります。また、痙攣が続く(重積)、繰り返す(群発)場合、何らかの重大な病気が潜んでいる可能性があります。痙攣後に意識障害が長引く場合も脳の異常を考えないといけなくなります。
- 痙攣が5分以上続く場合
- 痙攣後意識障害が続く場合(痙攣が続いている?脳の障害?)
は救急搬送が原則です。また、意識がはっきりしていても痙攣を24時間以内に2回繰り返した場合も救急受診の対象となります。
意識障害はないか痙攣が続いているかの判断
痙攣後は通常は眠ってしまいます。手足を動かしても硬くなくて、いつも通りのしっかりとした寝息があればほとんどは大丈夫です。できれば、起こして意識を確認してみてください。もし判断が難しい、おかしいと感じるようでしたら、時間外受診、場合によっては救急搬送でも良いと思います。
熱性痙攣について
熱性痙攣って?
一般的には生後半年~6歳未満に起きる、熱があるときの痙攣です。ただし、他に明らかな痙攣の原因が無いものとなっており、熱があるときの痙攣すべてが熱性痙攣ではありません。小児救急受診での痙攣の約80%を占めます。
アジアに多いのが特徴で、日本だと10%程度、諸外国では2~5%とされています。また、別の発熱で2度目の熱性痙攣を起こす可能性は30%程度と言われ、3度以上となると約10%とされています。
大体は6歳ごろまでには熱性痙攣を起こさなくなると言われています。
熱があるということはてんかんの子も発作を起こしやすい状況なので、てんかんとの鑑別も必要となりますが、90%は熱性痙攣からてんかんに移行しないということが知られています。
一番問題となるのは感染症が脳に影響をあたえる細菌性髄膜炎、急性脳炎、急性脳症でないかどうかです。意識障害や痙攣が長引く場合、痙攣を繰り返す場合にはこれらを疑った検査が必要となります。
ダイアップ
坐薬の眠り薬です。てんかんの薬を除くと、日本で一般に痙攣用に外来処方されている唯一の薬と言っても良いかもしれません。ただ、ゆっくり吸収され、起きている痙攣を止める力は弱いので、病院で痙攣止めに使うことは基本的にありません。しかしながら、病院外で使用できる薬としては唯一なので、「痙攣が起きたら使ってね」と処方されることも多いかと思います。
繰り返すリスクが高い場合、長い発作を起こした場合などに再発予防として処方されます。また、帰宅後に再度痙攣しないように使用されることもあります。
ダイアップの使用については色々議論があり、よく処方する人と全く処方しない人とがいます。