小児科のあれこれ

地方の小児科で感じたこと、勉強したこと、本やグッズのレビューなど

軟骨無形成症、ピエール・ロバン:看護師国家試験問題

病院勤務していると看護学生さんの授業を担当することがあります。

病院に付属していることもあるが、単に近いからと契約していることもある。

大学病院時代は肩書のある先生が担当していたが、歯学部の講義にも行っていて(もちろん医学部の講義もある)大変そうだなと思ってました。しかも、諸事情があり歯学部は英語…

 

というわけで今、講義期間なので授業したりその準備をしたりしています。で、看護師国家試験をみたり、Review bookとか国試対策の本を読んだりして講義内容をつめていくのですが…

看護師国家試験って意外とムズイ…

もちろん、医師と看護師の職業的な視点の違いっていうのはあって、ケアとかそういった部分の問題は医師にはちょっと難しいというのはあります。

ただ、普通に診療に関するものや病気の知識で難しいなと感じるものもあります。

今回それを一番思ったのがこの問題。

第108回 午前62)先天異常で正しいのはどれか。

1. 軟骨無形成症は低身長になる。

2. ターナー症候群は高身長になる。

3. クラインフェルター症候群は低身長になる。

4. ピエール・ロバン症候群は巨舌症がある。

医師国家試験でもそんなに正答率高くなさそうに思えます。 

このうち、ターナー症候群低身長、クラインフェルター症候群高身長は国試の頻出事項になりますので分かってないといけません。でも、この知識では解けない…

正解は1になります。軟骨無形成症は低身長症の原因となり成長ホルモン分泌療法の適応になるということは、確かに小児科医としては「低身長に対して治療する疾患」として知っています(ただし患者さんを診たことはあっても、自分で診断したことはありません)。

しかし、看護師さん一般が知っておく知識でしょうか?教科書では一応、先天代謝異常症のところに少し載っています。Review bookには載っていません。

ちなみにピエール・ロバン症候群は顎が小さかったり、舌根沈下が起きたりで喘鳴や無呼吸の原因となる先天異常です。教科書では呼吸器疾患の「発展学習」ってとこに別枠で小さく載っているだけです。ググると歯科の試験問題が引っかかるからそっちでやるのでしょうか?

医師国家試験や小児科専門医試験でも思いましたが、もうちょっと「試験対象者がみんな知っておくべき知識」について検討した方が良いと思います。

そもそもここに載ってる疾患、実際に自分で診療したことがある人どれほどいるんでしょうね?

 

 

看護師・看護学生のためのレビューブック 2020

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小児臨床看護各論―小児看護学〈2〉 (系統看護学講座 専門分野)

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