小児科のあれこれ

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川崎病②-治療

川崎病の治療のスタンダード

原因は今一つよくわかっていない(感染症+免疫異常?)という川崎病ですが、最初の治療は確立されています。

ガンマグロブリン大量とアスピリンの併用というものです。ガンマグロブリンというのはいわゆる抗体を集めたもので、免疫不全の人にも使いますが自分の免疫が自分を攻撃する自己免疫性疾患でも使用されることがあります。

アスピリンは昔ながらの解熱鎮痛剤で、バファリンとして発売されたものです。医療用バファリン(病院で処方されるもの)はアスピリンですが、市販だとバファリンAがアスピリンです。現在はむしろ血を固まりにくくする薬として高齢者が内服することが多いです。

これで80%ぐらいは1回で治療に成功するといわれていますが、うまくいかないこともあって、その場合には多くは同じ治療をもう一回。それでもだめだった場合はあまり決まった治療はなくて、地域や施設で方針が異なる感じです。

また、近年では最初の治療がうまくいかないリスクが高い場合には最初からステロイドを一緒に使うという方法も広がっています。

初回治療不応ハイリスク

初回治療がうまくいかないかどうかの予測スコアがいくつかあります。一般的に有名なのは群馬スコア(小林スコア)で、ハイリスクにステロイドを併用する派の人はこのスコアで判断しているものと思われます。これは、その治療の有効性を検証した論文の研究グループに小林先生がいらっしゃったのが大きいかと思います。一番シンプルなのは大阪スコアというものですが、これは肝障害に特化していて、実際に自分が治療に難渋した場合はビリルビンが高かったことが多かったように思います。

どのスコアも感度、特異度80%程度と言われ、ある程度の指標にはあるけれどもスコアと違う結果であることも多いです。

そして、海外では日本のこういったスコアは有効ではないという報告もあって、実際にアメリカ心臓協会(AHA)は有効でないとしています。人種間の違いがあるのでしょうか。

ガンマグロブリンの注意点

副作用としてはアレルギー、頭痛、腹痛、嘔吐などです。一応、血液製剤で幅広い意味では輸血の一種ですがそれが原因で感染症になるリスクは通常の輸血より低いとされています。

一番の注意点は予防接種の問題で、特に生ワクチンの接種時期が重要となります。治療後半年~1年程度あけることになっています。生ワクチンは病原体を病気にならない程度に弱らせたワクチンのことです。ガンマグロブリンは色々な病気に対する抗体を含んでいるので投与してしばらくはそういった病気に強い状態になります。ですのでその状態で生ワクチンを接種しても弱らせた病原体が瞬殺されてしまって自分で抗体を作るようにならないのでワクチンの効果がなくなってしまうという考えです。

 

最初の治療が上手くいかない(治療不応)の場合は 

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 いったん治った後の再発について

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川崎病の特徴について
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